不妊治療
妊娠成立には、
質の良い卵子の獲得と
良好な子宮内環境が必要です
良好胚を移植しても妊娠に至らない場合、子宮内環境に何らかの問題が考えられます。当院では妊娠成立に必要な『胚』と『子宮』の両方を大切に考え、その両方にアプローチしています。
不妊治療では質の良い卵子を確保することは言うまでもありません。しかし体外受精・顕微授精など『多くの胚をつくる医療』ばかりが注目され、卵子の数が多ければ多いほど良いという風潮が見られます。しかし、妊娠成立には『胚を受け入れる子宮内環境』がとても重要なのです。
子宮の中の内膜は、受精卵が寝込むためのベッドです。できるだけフカフカで、暖かい方が卵子にとっても良いことは、誰もが考える通りです。子宮筋腫や子宮内膜ポリープは子宮の形を直接変化させますし、子宮内膜の表面状態や病変(慢性子宮内膜炎など)の変化を見極め、必要な治療を行うことで、着床の環境は見違えるほど変わります。
質の良い卵子の獲得
体質と年齢、卵巣の能力に基づいた排卵誘発で、適切な数の良好胚を得ます。
良好な子宮内環境
良好胚を移植しても妊娠に至らない場合、子宮内環境に何らかの問題が考えられます。
タイミング法と
人工授精

タイミング法とは、排卵に合わせて夫婦生活のタイミングをご提案する方法です。人工授精(AIH)とは、採取した精液から元気よく動く受精能力の高そうな精子を集め、極細のカテーテルを使って子宮内に直接注入する治療法です。これに、お一人おひとりの卵巣機能を丁寧に調べ、子宮環境を整える治療をあわせて行います。
最も大切なのは「いつ行うのがベストか」
タイミング指導や人工授精で最も大事なことは、いつ行うのがベストなのかということです。排卵日がいつで、それに向けていかに子宮環境を整えるか。人工授精の場合は、排卵時期を的確に予測し、子宮の環境だけでなく卵子の成熟具合と精子の寿命をも考慮して、いつが最も妊娠率が高くなるかの判断が必要になります。この正確な予測は、排卵チェッカーだけでは見つけることができません。
精子の数だけでなく受精能力をも見定めて排卵する卵子の数を調整し、妊娠率は高いが双子以上にならないよう注意を払いながら、タイミングと人工授精を組み合わせて治療します。精子がある程度の能力をもっていれば、体外受精をしなくても多くの方々が妊娠しています。
それが当院のめざす「一人ひとりのからだにあった治療法」であり、からだに無理のない経済的な治療でもあります。
※卵巣機能を調べるとは、卵巣内に残存する卵の数や刺激に対する反応、その後のホルモン分泌の具合を評価することです。これは卵子の質を反映しています。
体外受精・顕微授精

体外受精とは、卵巣内から取り出した卵子に体外で精子を加えて受精させる治療です。顕微授精とは、取り出した卵子に顕微鏡下で精子を直接注入して授精させる方法です。
人工授精を4〜5回しても妊娠しない場合には、原因が精子なのか、卵子にあるのか、それとも両方なのかを見極めることが重要です。卵子および精子の質や受精能力そのものに疑問が見え始めた場合には、体外受精や顕微授精を含めたIVFをご提案します。
保険適用で、より身近になりました
2022年4月より体外受精などの不妊治療が保険適用になり、体外受精はより身近なものとなりました。自己注射できる注射薬も保険が効きますので、費用も通院回数も以前より少なくて済みます。超音波での診察がある時のみの受診でも構いませんし、注射が苦手な方はこれまで通り通院いただくことも可能です。仕事との両立も、これまでよりしやすくなっています。
いつも同じ方法で、
同じ刺激を繰り返していませんか?
適切な数の良好胚を得るための工夫
体外受精における排卵誘発方法は一つではありません。当院では、体質と年齢、排卵障害の原因により卵巣の能力に基づき、月経開始前より治療を開始します。いくつもの薬剤と刺激法の中から、その人に合うと思われるやり方、または前回(または前医)の刺激の結果を踏まえて、薬剤の種類と使い方、注射による刺激法を組み合わせて、10数通りの中から刺激法を選んで刺激しています。
安全に十分配慮しつつ、一人ひとりの卵巣の能力の中で、最大数の卵子を最低量の注射で育てるよう工夫します。1回の治療でも最大の効果を上げることが可能となり、同じ治療を何度も繰り返すことがありません。その結果が治療成績に現れています。
採卵時の麻酔について
採卵時には麻酔をいたしますのでご安心ください。当院では数種類の異なる麻酔薬をベストミックスで組み合わせて使用しています(当日お送り迎えがない場合には麻酔薬が限られますのでご留意ください)。採卵後に少しゆっくり休みたい方には、ご希望によりお昼のお食事をご用意し(実費負担)、午後まで病室でお休みいただいてから、診察の上お帰りいただけます。
精子の数が極端に少ない場合や、年齢的にも卵巣的にも余裕がない場合には、はじめから通常のIVF(ICSI)に挑戦する方が、卵子の数も多く、新鮮胚移植やその後の凍結胚移植のことも考慮すると、結果的に妊娠に近づける可能性は高くなります。
電場空間(DENBA)を用いた胚培養への取り組み
体外受精の凍結融解胚操作では、現状で最適な凍結保護剤とガラス化凍結をもってしても、胚細胞へのダメージをゼロにすることはできません。当院では2022年3月より電場空間装置(DENBA)を導入し、凍結・融解、胚移植までの培養など一連の操作を電場空間内で行うことで、胚細胞へのダメージの軽減に取り組んでいます。
導入前後それぞれ1年間の凍結融解胚移植546例(導入前237例・導入後309例)について妊娠率・分娩率を比較検討し、その結果を2023年の日本生殖医学会で発表しました。
凍結融解胚移植での妊娠・分娩率
| 導入前 (237例) | DENBA導入後 (309例) | |
|---|---|---|
| 妊娠率 | 29.1% | 38.5% |
| 分娩率 | 14.3% | 22.0% |
両群の年齢(35.4±4.4歳/35.2±4.6歳)・胚移植数に有意差はありません。妊娠継続例は2023年末までに分娩転帰を確認。
新鮮胚移植(IVF-ET)での妊娠・分娩率
| 日産婦 登録データ | 当院 (DENBA導入後) | |
|---|---|---|
| 妊娠率 | 21.0% | 54.0% |
| 分娩率 | 15.0% | 26.0% |
当院は2022年3月〜12月末にIVF-ETを実施した300症例の妊娠・分娩転帰。日産婦登録データは2021年実施分を引用。
新鮮胚移植での胚培養にも応用しており、電場環境での培養によりDay4での胚盤胞到達率の増加がみられています。培養および凍結融解の過程で生じる胚細胞へのダメージを軽減できることに加え、培養液の浸透効率の良さも奏功して胚発育が良好になり、結果として妊娠・分娩率の向上に寄与する可能性が示唆されています。
妊娠に必要な
からだづくり

当院では初診時・治療経過時に体組成分析(InBody570)を行います。その解析と血液検査の結果により、一人ひとりにベストな食事指導・生活習慣の改善指導を行います。
これに加えて、男性では精子の運動率・前立腺機能の改善、女性でも子宮内膜の厚みや卵巣機能を左右する血行不良の改善治療も行っています。
※体組成分析とは、からだの各部位ごとの水分量・筋肉量・体脂肪量を測定して過不足の状態を知ることで、からだの機能の改善につなげるために行うものです。
真面目に取り組んだ方ほど、変化があらわれます
生活習慣や栄養の改善にしっかり取り組まれた方では、おなかの調子やむくみ、肌の状態などに変化がみられることがあり、そうした方に妊娠のご報告をいただくことが多いのも事実です。
食事で足らない栄養素は、コマーシャルに流されるのではなく、適切なサプリメントで補うことも大切です。初診時の栄養指導では、このようなアドバイスもあわせて行っています。
着床不全・
子宮内環境治療外来
良好胚を移植しても妊娠に至らない場合、子宮内環境に何らかの問題が考えられます。IVF反復不成功に対して、着床障害の原因検索と治療を行います。
子宮内膜ポリープ・子宮内腔癒着・慢性子宮内膜炎・帝王切開後瘢痕症候群に対する評価を行い、同時に適切な治療を先行して行い、後日結果を確認することで待ち時間を短縮します。子宮鏡による診断と治療については、子宮鏡手術のページをご覧ください。
慢性子宮内膜炎のための子宮鏡検査・治療は年間200例以上実施。慢性子宮内膜炎では治療後半年の治療で60%以上が妊娠しています。
不育症(流産を繰り返す方)の検査と治療について
当院は不育症・着床障害の治療実績も数多くあります。現在では、抗リン脂質抗体症候群や、血栓症のできやすい体質を調べることが主流です。しかし、特に血栓症と関連する項目は1回の検査で決めつけるのは大変危険です。妊娠初期の5〜6週に再検査すると正常化している方も非常に多く、治療の必要性の根拠が認められない方も少なくありません。リスクのある意味のない治療を避けるためにも、丁寧な見極めが必要です。
最近では、免疫細胞の異常により着床が妨げられるという説に基づく免疫抑制剤(タクロリムスなど)を用いた治療も紹介されていますが、安全性や有効性に関するデータが不十分なこともあり、当院では現時点では取り入れていません。
流産の原因として多いもの
最も多い流産の理由は、受精後の染色体異常によるものです。着床前診断の結果もこれを裏付けています。次に多いのが、多のう胞性卵巣症候群(PCOS)の女性の場合です。卵子のまわりの細胞のホルモン分泌が著しく不良な場合、妊娠しても育たないことがあります。流産を繰り返すPCOSの女性ではこのホルモン値が非常に低いことを、院長自身のデータで確認し、欧州生殖医学会で発表しています(関心を持ったドクター数ランキングでTOP3に選出)。
男性不妊症
男性不妊といっても、無精子症の男性は1%もいません。多くは次のような場合です。
- 勃起不全(ED)などでうまく夫婦生活・射精ができない
- 精子の数は少なくないが、運動率が低い・奇形率が非常に高く、人工授精では限界がある
- 精液量、または精子の数が極端に少ない
一番問題となるのは2番目のケースで、全体の90%以上を占めています。精索静脈瘤があり手術が必要な程度であれば、手術での改善が期待されます。3番目の場合には、はじめから顕微授精の適応となります。
男性にも、血液検査と体組成分析を
当院では男性にも最初に血液検査と体組成分析をお願いしています。この結果に基づいて運動と栄養、生活習慣を見直し、改善したうえで、性生活の提案や工夫を行います。血流が改善すれば、精子の運動率に改善の兆しが見えてくる男性も意外と多いのです。規則正しい生活・バランスの良い食事、質の良い睡眠が、精子にとっても大切です。
当院には男性のお話を聞き、ご相談いただけるスタッフがおります。お一人で抱え込まず、まずは話をしてみてください。
それでも精子の質の改善には限界があります。そのような場合には一度IVF-ETにチャレンジしてみると、女性側の卵子の状態だけでなく、精子の受精能力の良し悪しもはっきりしますので、原因を突き止める上でも、妊娠につなげるためにも考慮すべき選択肢です。
排卵障害・
多のう胞性卵巣症候群
20〜30歳代で、次のような症状に当てはまる方は、多のう胞性卵巣症候群(PCOS)かもしれません。
- 月経周期が32日以上と長い
- 月経が7〜8日以上だらだらと続く
- 反対に、月経血が非常に少なく3日以内で終わってしまう
- ニキビが多くて悩んでいる
- 手足は細いのにおなか周りに脂肪が多く、急に太った
PCOSは病態がさまざまで、まだよく解明されていないことの多い疾患(体質)です。院長は1988年から日本と米国での基礎研究、1996年の帰国後は臨床研究と実際の治療を通して、30年以上この疾患に携わってきました。糖尿病との関連のほか、子宮内膜症や子宮奇形を合併している女性にPCOSの方が非常に多いことなど、長く関わってきたからこそわかることがあります。
1990年より、PCOSをはじめとする排卵障害に対する様々な排卵刺激法を開発してきました。排卵障害でお悩みの方も、まずはご相談ください。
結果の出せる不妊治療、三つの理由
当院で30歳代はもちろん、40歳代の方がこれほど多く妊娠・分娩するには理由があります。
徹底した一人ひとりに対する治療計画とその実践
「一人ひとり、その時のからだの状態に合わせた」と言葉で言うのは簡単です。でも本当に実践するのは、決して簡単なことではありません。当院はそれを実践しています。
妊娠に必要な基本的なからだづくりの提案と治療
体組成分析(InBody570)と血液検査の結果により、一人ひとりにベストな食事指導・生活習慣の改善指導を行います。
- 男性:精子運動率・前立腺機能の改善
- 女性:子宮内膜の厚み、卵巣機能に関わる血行の改善
内視鏡(子宮鏡)を用いた子宮環境の改善
子宮内膜は受精卵が寝込むためのベッド。内膜の表面状態や病変を見極め、必要な治療を行うことで、着床の環境は見違えるほど変わります。
着床障害検査
当院で行う着床障害検査は一式まとめて実施します。状態を多角的に把握するために、包括的に一式での実施となります。
- 問診・治療歴の整理、子宮形態・Vit/ミネラル検査+体組成分析をもとに今後の提案 約30,000円
- 血液検査(AMHやクラミジア性骨盤腹膜炎・内分泌代謝検査) 約20,000円
- 抗リン脂質抗体関連+血栓性素因・凝固異常検査 約25,000円
- 子宮鏡検査/手術+慢性子宮内膜炎検査、子宮内膜活性化処置 別途後日予約調整します
※前医での結果によって一部省略できるものや、一部保険で可能なものもあります。
当院診療の流れ
初めての不妊治療の方・治療歴はあるが人工授精(AIH)までの方
-
01
検査・評価から治療方針のご相談まで
通常通り、1周期かけて一通りの検査を行い、問題点をあらいだし、そのほか妊娠に必要な機能を評価したうえで、治療方針をご相談します。
他院ですでに体外受精まで治療している方(子宮環境外来/着床不全外来をご希望の方)
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01
初診
これまでの他院での治療経過、治療歴(移植回数・流産歴)、治療内容を詳しく伺います。無駄な検査や治療をせず、まっすぐに問題点に切り込むために絶対必要な要素です。
※時系列で治療歴を整理し、お持ちのデータをわかりやすく整理してご持参いただくと参考になります。
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02
診察
排卵周期での子宮及び卵巣機能の評価と検査により、問題点を洗い出します。
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03
子宮内環境の評価と治療
子宮内膜ポリープ・子宮内腔癒着・慢性子宮内膜炎・帝王切開後瘢痕症候群に対する評価を行い、同時に適切な治療を先行して行い、後日結果を確認することで待ち時間を短縮します。
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04
再評価と追加治療
重症慢性子宮内膜炎(ステージ2以上)の場合は、妊娠(-)なら半年後に再度子宮内を観察して必要に応じて追加治療とします。当院独自の子宮内膜活性化処置を同時に行います。
このような方は、
ご相談ください
パターン化した治療を繰り返す前に。子宮内環境という視点から、これまでの治療を一緒に見直してみませんか。
- 良好胚を移植しても妊娠に至らない
- 流産を繰り返している
- 子宮内膜ポリープや子宮奇形を指摘された
- 慢性子宮内膜炎を疑われた、または何度治療してもよくならない
- 子宮側から、妊娠しない原因を見直したい
- 一人目が帝王切開だったので出血やおりものが気になる。最近話題の“帝王切開後瘢痕症候群”が心配
- 卵管が閉鎖して使えない、または卵管のとおりが悪く、体外受精しか方法がないと言われた
- 子宮内膜が非常に薄いので妊娠(着床)しないと言われた
など、お一人で悩まず、まずはご相談ください。
